No. | 上の句 | 下の句 | 作者 | 出典 | 定まり字 | 6 | 36 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 秋の田のかりほの庵の苫をあらみ | わが衣手は露にぬれつつ | 天智天皇 | 後撰集 | あきの | ||
2 | 春すぎて夏きにけらし白妙の | 衣ほすてふ天のかぐ山 | 持統天皇 | 新古今集 | はるす | ||
3 | あし引きの山鳥の尾のしだり尾の | ながながし夜をひとりかもねむ | 柿本人麻呂 | 拾遺集 | あし | ○ | |
4 | 田子の浦にうち出でて見れば白妙の | 富士の高嶺に雪はふりつつ | 山部赤人 | 新古今集 | たご | ○ | |
5 | 奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の | 声きく時ぞ秋はかなしき | 猿丸太夫 | 古今集 | おく | ○ | |
6 | かささぎのわたせる橋に置く霜の | 白きを見れば夜ぞ更けにける | 中納言(大伴)家持 | 新古今集 | かさ | ○ | |
7 | 天の原ふりさけ見れば春日なる | 三笠の山に出でし月かも | 安倍仲麻呂 | 古今集 | あまの | ||
8 | わが庵は都の辰巳しかぞすむ | 世をうぢ山と人はいふなり | 喜撰法師 | 古今集 | わがい | ○ | |
9 | 花の色はうつりにけりないたづらに | 我が身世にふるながめせしまに | 小野小町 | 古今集 | はなの | ○ | ○ |
10 | これやこのゆくも帰るも別れては | 知るもしらぬも逢坂の関 | 蝉丸 | 後撰集 | これ | ||
11 | わたの原八十島かけて漕ぎ出ぬと | 人には告げよ海人の釣舟 | 参議(小野)篁 | 古今集 | わたのはらや | ||
12 | 天つ風雲のかよひぢ吹きとぢよ | をとめの姿しばしとどめむ | 僧正遍昭 | 古今集 | あまつ | ○ | ○ |
13 | 筑波嶺の峰より落つるみなの川 | 恋ぞつもりて淵となりぬる | 陽成院 | 後撰集 | つく | ||
14 | 陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに | 乱れそめにし我ならなくに | 河原左大臣(源融) | 古今集 | みち | ||
15 | 君がため春の野に出でて若菜つむ | 我が衣手に雪はふりつつ | 光孝天皇 | 古今集 | きみがためは | ||
16 | 立ち別れいなばの山の峰に生ふる | 松としきかば今かへり来む | 中納言(在原)行平 | 古今集 | たち | ||
17 | ちはやぶる神代もきかず龍田川 | から紅に水くくるとは | 在原業平朝臣 | 古今集 | ちは | ○ | ○ |
18 | 住の江の岸による波よるさへや | 夢のかよひぢ人めよくらむ | 藤原敏行朝臣 | 古今集 | す | ○ | |
19 | 難波潟短かき蘆のふしの間も | 逢はでこの世を過ぐしてよとや | 伊勢 | 新古今集 | なにはが | ○ | |
20 | わびぬれば今はたおなじ難波なる | みをつくしても逢はむとぞ思ふ | 元良親王 | 後撰集 | わび | ||
21 | 今来むといひしばかりに長月の | 有明の月を待ち出づるかな | 素性法師 | 古今集 | いまこ | ○ | |
22 | 吹くからに秋の草木のしをるれば | むべ山風をあらしといふらむ | 文屋康秀 | 古今集 | ふ | ○ | |
23 | 月見れば千々に物こそかなしけれ | わが身ひとつの秋にはあらねど | 大江千里 | 古今集 | つき | ||
24 | このたびはぬさもとりあへず手向山 | もみぢの錦神のまにまに | 菅家(菅原道真) | 古今集 | この | ||
25 | 名にしおはば逢坂山のさねかづら | 人にしられでくるよしもがな | 三条右大臣(藤原定方) | 後撰集 | なにし | ||
26 | 小倉山峰のもみぢ葉心あらば | 今一度のみゆきまたなむ | 貞信公(藤原忠平) | 拾遺集 | をぐ | ||
27 | みかの原わきて流るるいづみ川 | いつ見きとてか恋しかるらむ | 中納言(藤原)兼輔 | 新古今集 | みかの | ○ | |
28 | 山里は冬ぞさびしさまさりける | 人めも草もかれぬとおもへば | 源宗于朝臣 | 古今集 | やまざ | ○ | |
29 | 心あてに折らばや折らむ初霜の | 置きまどはせる白菊の花 | 凡河内躬恒 | 古今集 | こころあ | ○ | |
30 | 有明のつれなく見えし別れより | 暁ばかりうきものはなし | 壬生忠岑 | 古今集 | ありあ | ○ | |
31 | 朝ぼらけ有明の月と見るまでに | 吉野の里にふれる白雪 | 坂上是則 | 古今集 | あさぼらけあ | ○ | |
32 | 山川に風のかけたるしらがみは | 流れもあへぬ紅葉なりけり | 春道列樹 | 古今集 | やまが | ||
33 | 久かたの光のどけき春の日に | しづ心なく花の散るらむ | 紀友則 | 古今集 | ひさ | ○ | |
34 | 誰をかも知る人にせむ高砂の | 松も昔の友ならなくに | 藤原興風 | 古今集 | たれ | ○ | |
35 | 人はいさ心も知らずふるさとは | 花ぞ昔の香に匂ひける | 紀貫之 | 古今集 | ひとは | ○ | |
36 | 夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを | 雲のいづこに月宿るらむ | 清原深養父 | 古今集 | なつ | ||
37 | 白露に風の吹きしく秋の野は | つらぬきとめぬ玉ぞ散りける | 文屋朝康 | 後撰集 | しら | ||
38 | わすらるる身をば思はず誓ひてし | 人の命の惜しくもあるかな | 右近 | 拾遺集 | わすら | ||
39 | 浅茅生の小野の篠原しのぶれど | あまりてなどか人の恋しき | 参議(源)等 | 後撰集 | あさぢ | ||
40 | 忍ぶれど色に出にけりわが恋は | 物や思ふと人のとふまで | 平兼盛 | 拾遺集 | しの | ○ | |
41 | 恋すてふわが名はまだき立ちにけり | 人知れずこそ思ひそめしか | 壬生忠見 | 拾遺集 | こひ | ○ | |
42 | 契りきなかたみに袖をしぼりつつ | 末の松山波こさじとは | 清原元輔 | 後拾遺集 | ちぎりき | ○ | |
43 | あひみての後の心にくらぶれば | 昔は物を思はざりけり | 権中納言(藤原)敦忠 | 拾遺集 | あひ | ○ | |
44 | あふ事の絶えてしなくばなかなかに | 人をも身をも恨みざらまし | 中納言(藤原)朝忠 | 拾遺集 | あふ | ○ | |
45 | あはれともいふべき人はおもほえで | 身のいたづらになりぬべきかな | 一条摂政謙徳公(藤原伊尹) | 拾遺集 | あはれ | ||
46 | 由良のとをわたる舟人かぢをたえ | ゆくへもしらぬ恋の道かな | 曽根好忠 | 新古今集 | ゆら | ||
47 | 八重むぐらしげれる宿のさびしきに | 人こそ見えぬ秋は来にけり | 恵慶法師 | 拾遺集 | やへ | ||
48 | 風をいたみ岩うつ浪のおのれのみ | くだけて物を思ふころかな | 源重之 | 詞花集 | かぜを | ○ | |
49 | みかき守衛士の焚く火の夜はもえ | 昼は消えつつ物をこそ思へ | 大中臣能宣朝臣 | 詞花集 | みかき | ○ | |
50 | 君がため惜しからざりし命さへ | 長くもがなと思ひけるかな | 藤原義孝 | 後拾遺集 | きみがためを | ||
51 | かくとだにえやはいぶきのさしも草 | さしも知らじな燃ゆる思ひを | 藤原実方朝臣 | 後拾遺集 | かく | ||
52 | 明けぬればくるるものとは知りながら | なほ恨めしき朝ぼらけかな | 藤原道信朝臣 | 後拾遺集 | あけ | ||
53 | 嘆きつつ独りぬる夜の明くる間は | いかに久しきものとかはしる | 右大将道綱母 | 拾遺集 | なげき | ||
54 | わすれじの行末まではかたければ | 今日を限りの命ともがな | 儀同三司母 | 新古今集 | わすれ | ||
55 | 滝の音は絶えて久しくなりぬれど | 名こそ流れてなほ聞こえけれ | 大納言(藤原)公任 | 拾遺集 | たき | ||
56 | あらざらむこの世のほかの思ひ出に | 今ひとたびのあふこともがな | 和泉式部 | 後拾遺集 | あらざ | ||
57 | めぐりあひて見しやそれともわかぬ間に | 雲がくれにし夜半の月かな | 紫式部 | 新古今集 | め | ||
58 | 有馬山猪名の笹原風ふけば | いでそよ人を忘れやはする | 大弐三位 | 後拾遺集 | ありま | ||
59 | やすらはで寝なましものを小夜更けて | 傾くまでの月を見しかな | 赤染衛門 | 後拾遺集 | やす | ||
60 | 大江山いく野の道の遠ければ | まだふみも見ず天の橋立 | 小式部内侍 | 金葉集 | おおえ | ||
61 | いにしへの奈良の都の八重桜 | けふ九重に匂ひぬるかな | 伊勢大輔 | 詞花集 | いに | ||
62 | 夜をこめて鳥のそらねははかるとも | よに逢坂の関はゆるさじ | 清少納言 | 後拾遺集 | よを | ||
63 | 今はただ思ひ絶えなむとばかりを | 人づてならでいふよしもがな | 左京太夫(藤原)道雅 | 後拾遺集 | いまは | ||
64 | 朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに | あらはれわたる瀬瀬の網代木 | 権中納言(藤原)定頼 | 千載集 | あさぼらけう | ||
65 | 恨みわびほさぬ袖だにあるものを | 恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ | 相模 | 後拾遺集 | うら | ||
66 | もろともにあはれと思へ桜山 | 花よりほかに知る人もなし | 僧正行尊 | 金葉集 | もろ | ||
67 | 春の夜の夢ばかりなる手枕に | 甲斐なく立てむ名こそ惜しけれ | 周防内侍 | 千載集 | はるの | ||
68 | 心にもあらでうき世にながらへば | 恋しかるべき夜半の月かな | 三条院 | 後拾遺集 | こころに | ||
69 | 嵐ふく三室の山のもみぢ葉は | 龍田の川の錦なりけり | 能因法師 | 後拾遺集 | あらし | ||
70 | 寂しさに宿を立ち出でてながむれば | いづこも同じ秋の夕暮 | 良暹法師 | 後拾遺集 | さ | ||
71 | 夕されば門田の稲葉おとづれて | 蘆の丸屋に秋風ぞふく | 大納言(源)経信 | 金葉集 | ゆふ | ||
72 | 音にきく高師の浜のあだ浪は | かけじや袖の濡れもこそすれ | 祐子内親王王家紀伊 | 金葉集 | おと | ||
73 | 高砂の尾上の桜咲きにけり | 外山の霞たたずもあらなむ | 権中納言(大江)匡房 | 後拾遺集 | たか | ||
74 | うかりける人を初瀬の山おろし | はげしかれとは祈らぬものを | 源俊頼朝臣 | 千載集 | うか | ||
75 | 契りおきしさせもが露を命にて | あはれ今年の秋もいぬめり | 藤原基俊 | 千載集 | ちぎりお | ||
76 | わたの原こぎ出でて見れば久方の | 雲井にまがふ沖つ白波 | 法性寺入道前関白太政大臣(藤原忠道) | 詞花集 | わたのはらこ | ||
77 | 瀬を早み岩にせかるる滝川の | われても末にあはむとぞ思ふ | 崇徳院 | 詞花集 | せ | ||
78 | 淡路島かよふ千鳥の鳴く声に | 幾夜ねざめぬ須磨の関守 | 源兼昌 | 金葉集 | あはぢ | ||
79 | 秋風にたなびく雲の絶え間より | もれ出づる月の影のさやけさ | 左京太夫(藤原)顕輔 | 新古今集 | あきか | ||
80 | ながからむ心もしらず黒髪の | 乱れて今朝は物をこそ思へ | 待賢門院堀川 | 千載集 | ながか | ||
81 | ほととぎす鳴きつる方をながむれば | ただ有明の月ぞのこれる | 後徳大寺左大臣(藤原実定) | 千載集 | ほ | ||
82 | おもひ侘びさても命はあるものを | 憂きにたへぬは涙なりけり | 道因法師 | 千載集 | おも | ||
83 | 世の中よ道こそなけれ思ひ入る | 山の奥にも鹿ぞなくなる | 皇太后宮大夫(藤原)俊成 | 千載集 | よのなかよ | ||
84 | ながらへばまたこのごろやしのばれむ | 憂しと見し世ぞ今は恋しき | 藤原清輔朝臣 | 新古今集 | ながら | ||
85 | 夜もすがらもの思ふころは明けやらで | 閨の隙さへつれなかりけり | 俊恵法師 | 千載集 | よも | ||
86 | なげけとて月やは物を思はする | かこち顔なるわが涙かな | 西行法師 | 千載集 | なげけ | ||
87 | 村雨の露もまだ干ぬ真木の葉に | 霧立ちのぼる秋の夕ぐれ | 寂蓮法師 | 新古今集 | む | ||
88 | 難波江の蘆のかりねのひとよゆゑ | みをつくしてや恋ひわたるべき | 皇嘉門院別当 | 千載集 | なにはえ | ||
89 | 玉の緒よ絶えなばたえねながらへば | 忍ぶることのよわりもぞする | 式子内親王 | 新古今集 | たま | ||
90 | 見せばやな雄島のあまの袖だにも | 濡れにぞぬれし色はかはらず | 殷富門院大輔 | 千載集 | みせ | ||
91 | きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに | 衣かたしきひとりかもねむ | 後京極摂政前太政大臣(藤原良経) | 新古今集 | きり | ||
92 | わが袖は潮干に見えぬ沖の石の | 人こそ知らねかわく間もなし | 二条院讃岐 | 千載集 | わがそ | ||
93 | 世の中は常にもがもな渚こぐ | あまの小舟の綱手かなしも | 鎌倉右大臣(源実朝) | 新勅撰集 | よのなかは | ||
94 | み吉野の山の秋風さ夜ふけて | ふる里寒く衣うつりな | 参議(藤原)雅経 | 新古今集 | みよ | ||
95 | おほけなくうき世の民におほふかな | 我がたつ杣に墨染の袖 | 法印慈円 | 千載集 | おほけ | ||
96 | 花さそふ嵐の庭の雪ならで | ふりゆくものは我が身なりけり | 入道全太政大臣(西園寺公経) | 新勅撰集 | はなさ | ||
97 | 来ぬ人を松帆の浦の夕なぎに | やくや藻塩の身もこがれつつ | 権中納言(藤原)定家 | 新勅撰集 | こぬ | ||
98 | 風そよぐならの小川の夕ぐれは | みそぎぞ夏のしるしなりける | 従二位(藤原)家隆 | 新勅撰集 | かぜそ | ||
99 | 人もをし人も恨めしあぢきなく | 世を思ふゆゑにもの思ふ身は | 後鳥羽院 | 続後撰集 | ひとも | ||
100 | 百敷や古き軒端のしのぶにも | なほあまりある昔なりけり | 順徳院 | 続後撰集 | もも |
色の違う7首は「むすめふさほせ」と語呂合わせで覚えられる1字定まりの7首。
60、95の2首の出だし2文字は同じものとする。
大友黒主は六歌仙の中で唯一小倉百人一首に撰ばれていない
三十六歌仙で小倉百人一首に撰ばれていないのは、藤原高光、源公忠、斎宮女御、大中臣頼基、源信明、藤原清正、源順、藤原元真、小大君、藤原仲文、中務の11人